セクションとは属性の一つであり、タスクを実行する時間帯のこと。
私たちが日々消化するタスクの大半はルーチンタスクであるが、もう一つ、よく知られた経験則として「ルーチンタスクを消化する時間帯も大体決まっている(決まってくる)」がある。このタスクは朝、これは昼前、これは昼飯を食べた後からおやつを食べる前くらい、これは夕方、これは寝る前――自覚できないかもしれないが、そういう偏りはあるはずだ。
あなたの行動をルーチンタスクに落として管理し、さらにそれらタスクをいつやるかを「セクションを設定することで」落とし込めれば、まさに精度の高いリスト駆動生活になる。リスト駆動生活は、このリストのとおりに行動すれば毎日が回る(そうなるようにリストをつくっていく)ものだが、そうなるためには「自分にとって自然な過ごし方」になるようタスクを並べる必要があるわけで、難しいところでもある。セクションを使えば、比較的雑に、しかしそれなりの精度で並べられるのだ。逆にセクションを度外視すると、なかなか定着してくれない。実はあなたは書類チェックを夕方に行う体質になっているのに、朝に行ったり、昼や夜に行ったりして、ひどいと「とりあえずタスクリストにはあるけど、いつやるかはその都度その都度決めている」「そして先送りしがち」なんてことになっていたりする。そういう優柔不断なタスクが1つならまだしも、3つあったら?5つあったら?10つあったら?……認知資源の負荷ははかりしれまい。ぞっとする。この場合は、書類チェックというルーチンタスクを、夕方というセクションにセットするのが一番だ。
セクションはどのようにツール上で実現すれば良いのだろうか。
主に3つくらいあるだろう。
1 カテゴリー的。事前にセクションをカテゴリーとして定義しておき、タスクに割り当てるというものだ。
以下に例を挙げる。
朝 task
朝 task
朝 task
昼 task
昼 task
昼 task
夕方 task
夕方 task
夜 task
夜 task
10個のタスクがあり、そのうち朝セクションのタスクが3個ある。こうすると「朝に3個、昼は3個、夕方は2個で夜も2個」といったように、セクション(時間帯)という塊で捉えることができる。セクションごとに全部終わらせればそのセクションはオッケー、という見方もでき、メリハリがつく(デイリータスクリストは日単位でメリハリをつけるが、セクションは時間帯単位でそうするのである)。
各タスクにセクションをつけないといけないのが面倒くさいが、最もわかりやすく試しやすい運用でもあろう。
2 配置的。本質的にはカテゴリーと同じだが、いちいちつけるのがだるいので場所で表現する。テリトリーと言っても良い(が、この言葉馴染みないと思うのでここではこれ以上使わないでおく)。
以下に例を挙げる。
--- 朝 ---
task
task
task
--- 昼 ---
task
task
task
--- 夕方 ---
task
task
--- 夜 ---
task
task
カテゴリー的との違いは、いちいちセクションをつけていない点である。朝セクションにしたければ、朝の場所に置けば良い。些細な差かもしれないが、操作コストは馬鹿にできない。操作コストの蓄積にやられて「だるいからもういいや」とやめる人も多い。舐めてはいけない。
このやり方のデメリットは、タスク単体で見た時にセクションがわからないことであろう。おそらく検索や俯瞰を行っても、その結果には「task」としか出ない(セクションがわからない)。が、検索はそんなにしないだろうし、日々の操作コストが減る手間を考えれば許容できるだろう。
3 ナローアプローチ的。これも本質はカテゴリーと同じだが、俯瞰できないようになっている。
例を上げよう。
朝(3)
昼(3)
夕方(2)
夜(2)
入らないと見えないカテゴリーと言っても良かろう。外からはセクションと、そこに入っている個数しか見えない。あなたがやることは、今のセクションに入って、その中にあるタスクを全部終わらせることだけだ。今が朝なら、朝に入れば良い。昼や夕方などはいったん無視していい(昼や夜になってからやればいい)。いわば、自分が相手にするタスクを局所化しているわけだ。
さらにナローになると、たとえば以下のようになるだろう。
朝(3)
残(3セクション、計7タスク)
この見せ方は、ほぼ今のセクション(この例では朝)しかわからない。それ以降が全部端折られてしまっているからだ。その分、あなたは朝セクションのタスク達に専念できよう。
このやり方のデメリットは2つある。まず、ナローアプローチがそうであるように人と状況を選ぶことだ。あなたが俯瞰したい人であるか、俯瞰して臨機応変に対応しないといけない場合、このアプローチは使えまい。そしてもう一つは、このアプローチを採用したツールが無いことだ(あったら教えてほしい)。今のところ自製するか、ツールの使い方を工夫することで実現するしかない。
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別の言い方をすると、「入れる/置く」「隠す/隠さない」で計4パターンあるとも言える。
1 入れる・隠す。ナローアプローチなカテゴリー。
2 入れる・隠さない。カテゴリー。
3 置く・隠す。ナローアプローチな配置的。
4 置く・隠さない。配置的。
セクションはどのように定義すればいいのだろうか。
こればっかりは人次第なので何とも言えない。
一つの目安として「モードが変わるとき」を考えるといい。たとえば寝起き、仕事、昼休憩、仕事、仕事終わり、寝る前くらいがあるなら、セクションは「朝」「仕事午前」「昼休憩」「仕事午後」「仕事後」「就寝前」になるだろう。仕事の部分を全部くるんで「朝」「出社」「仕事後」「就寝前」とする人もいるかもしれないし、もっと細かく「朝自由」「朝準備」「仕事午前」「昼休憩」「仕事午後」「退社準備」「仕事後」「夕食」「就寝前」と分ける人もいよう。
また、平日と休日とでも違うはずだ。無理に一つにするとしんどいので、平日用セクション、休日用セクション、は別々に考えるのが良い。
よくわからなければ、とりあえず「朝」「昼」「夜」の3つで始めてみればいい。合わない部分は日々改良していけばいい。おそらく「朝」は2つに分かれるなとか、「夜」は3つに分けたいな、などいろいろ出てくる(3つでは足りない)はず。
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